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〈相手の可能性を信じているか?〉

執筆者の写真: 土方 奈々絵土方 奈々絵


この記事は、

過去のニュースレターのアーカイブとして公開しているものです。

原則として、配信当時のそのままを載せています。


 


こんにちは!

コーチ・カリエレの土方奈々絵です。

 


コーチングを学ぶ中で、素晴らしい考え方にいくつも触れてきましたが

その中の1つに「相手の可能性を信じる」という言葉があります。

 

人は元々完全であり、その時その人が何か問題を抱えていたとしても、その人自身が根本的に悪いということではない。

その人が目指しているもの、目標やゴールを達成する力は埋もれているだけ。

答えはその人の中にある。


などなど、こうした考え方に触れる度にワクワクし、コーチングに惹かれる気持ちを感じます。

 


国際コーチ連盟(ICF)が定めるコア・コンピテンシー(下記注)でも次のような項目があります。


  • クライアントの新しい振る舞いや行動に、リスクや失敗への怖れが含まれていたとしても、クライアントを支え、継続的なサポートを提供している (B 関係性を共に築く/01.クライアントと共に信頼と安心感を作り上げる)

  • クライアントの成功と、今後成長する可能性について祝福している (D 学びと結果を促進させる/02.行動のデザイン)


他の項目も、全体を通して「クライアントの可能性を信じる」という思考が背景にあると感じられます。



以前コンサルタントの仕事をしていた際、上司から「クライアントを疑え(=味方と思うな)」と散々言われ

「相手の言動には裏があるのではないか」「腹の底では何を考えているのか」と

考えようとして苦しくなって、精神的に参ってしまった経験があります。

だからこそ、こうした「人のいい面を見る(性善説)」というスタンスに惹かれるのかもしれません。


 

これらの考え方を素晴らしい!と思っていますが、実践するのは案外難しいと感じたことがあります。

 


大学に勤めていたとき、キャリア支援の部署に異動になりました。

既にコーチングを学んでいたので、その知見を活かして学生の就職相談に取り組みました。

 

少しして、特に大手企業を志望する学生の態度や意識の持ち方などのレベル感から

「(志望先に受かるのは)無理だろうな…」と思いつつ相談に乗っていることに気づきました。

自分でそのことに気づいた時、「学生を信じていないじゃない!」とひどく落ち込んだことを覚えています。


気持ちとしては信じてあげたい。

でも、明らかに身の丈を超えた志望先だし、どこから手をつけたらいいかというレベル感。

この状態でどうやったら学生を信じてあげられるのか…。

自分の中でモヤモヤしながら試行錯誤する時期が続きました。

 

結果は…時間が解決しました。

学生は就職活動を通してものすごく成長します。

大手はESの段階でNGだった学生が、中小の優良企業から「是非来てほしい」と内定をもらう。

相談中に不安からわんわん泣いていた学生が、落ち着き始めた途端に内定が出る。

3カ月前は挨拶もろくにできなかった学生が、就職先を決め、職員にお礼を伝えに来るようになる。


「『無理だ』と決めつけるなんて、なんておこがましいんだろう」と思うようになりました。

 


「彼らが出来ると当然のように思いなさい。大抵は、彼らがその挑戦にどれほど上手く対応できたかに嬉しく驚かされることになる!(中略)間違いは大いなる教師であるが、人々は判断を下さない環境の中でさらに学ぶ立場にある。」 (「The Portable Coach」ステップ22.無条件に建設的な人間になりなさい/No.8)

 

今でも、正直に言うと、「(今のままでは)難しいかな…」と思ってしまうことは多々あります。

まだまだだな、と自分でも思いますが、前と違うのは

「この学生が成長できるよう、私が出来ることは何か」に焦点を切り替えることです。

ゴールに焦点を当てるのではなく、学生自身に焦点を当てる。

そうして関わっていけば、いつかはこの人は進化するのに最適なゴールに自ずと辿り着く。

「目の前の学生は成長途上である」と信じて関わり続けています。

 


同じように、 私自身も「成長途上である」と信じています。

 


皆様は、目の前の相手をどのように信じて関わっていますか?


 


 それではまた!


 


(注)コア・コンピテンシー(核たる能力水準)

プロコーチが持つべきアプローチやスキルについて、国際コーチ連盟(ICF)がまとめた世界的な基準。

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