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〈ビジョンなんて思い描けない!?〉

執筆者の写真: 土方 奈々絵土方 奈々絵


この記事は、

過去のニュースレターのアーカイブとして公開しているものです。

原則として、配信当時のそのままを載せています。


 


こんにちは!

コーチ・カリエレの土方奈々絵です。

 


あなたは

『コーチングには「目標達成」や「ビジョンを描く」ことが欠かせない』

というイメージをお持ちではありませんか?

 

私自身、企業でのコーチング研修などで目標をテーマに扱います。

その際、共通認識を持つために、山登りに例えて以下のように言葉の定義をお伝えしています。

 

ゴール: 山頂/達成したいこと、なりたい姿などの最終到着点

目標: 山頂までの道のりで5合目など目印とする箇所/ゴールにたどり着くまでの通過点として定めるもの

ビジョン: 山頂に立った時に見える景色/ゴールが実現した時の視覚的なイメージ

 

 

と言いつつ、実は私自身は目標もビジョンも大の苦手です。

目標を立てるのも、ビジョンを思い描くのも苦手で、コーチになりたての頃は苦労しました。

今は目標の活用の仕方を学んでいるので、それを自分自身に活用することもできるのですが、

個人的には目標達成の手法をほとんど使っていません。

 

 

実は、ビジョン型と価値観型の人がいると言われています(注)。

ビジョン型は将来のビジョン・目標を描きそこに向かうことが動機になるタイプで、欧米人に多い。

価値観型は自分の価値観に沿って生きることが動機になるタイプで、日本人はこちらの人が多い。

どちらがいい悪いではなく、単なるタイプの違いです。

 

この話を初めて聞いた時、私は完全に価値観型だなぁと妙に納得したのを覚えています。

私のクライアントさんにもこの話をすると、価値観型の方がほぼ100%でした。

あなたはどちらのタイプでしょうか?

 

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それでは、「ビジョン」は持たなくてもいいのでしょうか?

 

「ビジョン」を辞書を引くと、

『将来のあるべき姿を描いたもの。将来の見通し。構想。未来図。未来像。』とあります。

一般的に個人も組織も「ビジョンを描く」ことはとても大切とされていますし、

「ビジョンを掲げる」人や組織を素晴らしいと感じる方も多いでしょう。

 

 

トマスは『ポータブル・コーチ』の中で

「(目標・ゴールも悪くないが)ビジョンを持ちなさい」ということを言っています。

 

『ビジョンとは、一度見たら完全に明白になるような標識灯である。ゴールとは、ビジョンを見ることができない時に定めるものである。』 (「The Portable Coach」ステップ11.自分を前に引っ張る真空を創り出しなさい/区別の仕方)
『前に引っ張られる方法として、ビジョンはゴールよりも良いものである』 (「The Portable Coach」ステップ11.自分を前に引っ張る真空を創り出しなさい/No.3)

 

 

しかも、トマスが定義する「ビジョン」は、前述した私の定義とは少し違っているようです。

 

『私の定義によれば、ビジョンとは単に既に現在起こっていることから推定されるものだ。』 (「The Portable Coach」ステップ11.自分を前に引っ張る真空を創り出しなさい/No.3)
 『ビジョンとは、あなたとおそらく他の人にも明らかに見えるものだ。それはあなたではないし、生きる理由でもない。単にあなたには明らかに見える何かである。それに向かって動くか、遠くからただそれを楽しむかを選ぶことができる。強く引っ張る力はあるが、あなたの力をみなぎらせるものではない。』 (「The Portable Coach」ステップ27.ビジョンを持ちなさい/区別の仕方)
 『その〔ビジョンの〕メリットは、それがあなたを触発することだ――既に魅力的であるすべてをより深く掘り下げるための「許可」をあなたに与える。』 (「The Portable Coach」ステップ27.ビジョンを持ちなさい/No.3)

 

 

「ビジョン」とは自分のゴールを映像化したものではなく

現在にある傾向から将来起こることを推定したもの。

 

今現在あるものにどんな傾向があるのか?

それが今後どうなっていくのか?

そこから見えたビジョンとどのように付き合っていくのか?

 

そう捉え直すと、価値観型の私でも、ビジョンを扱いやすくなります。

あまり重く考えずに、自分のあり方を方向づける手段の1つとして

ビジョンを活用してみてはいかがでしょうか?

 

 

余談ですが…

トマスのこの原理原則を理解すると

今後の研修で目標とビジョンをどう扱うか、悩ましいところです。

 

 

 

それではまた!

 

 

 

(注)ビジョン型と価値観型についての詳細は平本あきお氏の本やコメントをご参照ください。

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